現在の閲覧者数:

(c)新藤悟 2005 - All Rights Reserved







今日、この日のために私は死力を尽くした

少女マンガ、恋愛小説、ドラマの台詞、友人の実体験、更には偉人の名言まで

思いつく限り調べて結局は王道的な台詞に決めた

美味しいチョコを作るためにネルフの保安部を二ダースほど病院送りにしてしまったが

完成品はネコスキー博士からの太鼓判を貰ったほどの味だ

眼を閉じると今日までの挑戦の日々が走馬灯のように思い浮かぶ

一ヶ月前から準備を始め

ネコスキー博士に相談して調理道具を買い揃えた

最初の完成品を食べた髭が急性胃炎になった

彼に気づかれそうにもなった

寝不足で授業中に爆睡なんてしょっちゅうだった

本の読みすぎで頭がボーっとした日もあった

…でも彼が喜ぶ姿を想像するだけで元気が出た

台詞の練習のために用意したビデオやDVD、本などは軽く百を超え

大体のストーリーを覚え、初めの二三ページ(分)くらいで結末が分かるようになった

この服だってファッション雑誌も読み漁って今日にぴったり(らしい)服を買った

結構高かったが髭に頼んだら他にも十枚くらい買ってくれた

だから、自信はある………………はず!だといいなぁ…


「……もう来てるかな?」


彼はまだ来ていなかった

それはそうだろう、今は約束の時間の二時間も前だ

我ながら馬鹿なことをしたと思う、でも、待ちきれなかった

滅多に人の来ない税金の無駄遣いな公園の時計台の前

そこが彼を呼び出した場所だ

期待と恐怖が入り混じって暴走しそうな頭をなんとか落ち着かせる


「……早く来ないかなぁ」


見上げた空はどこまでも青かった



二時間後、約束の時間だが彼はまだ来ない


「寝坊でもしたのかな……」


寝坊して急いで着替える彼を想像すると……


「……ぷっ」


三時間後、彼はまだ来ない


「……早く来ないかな…」


ちらほらと雪が降り始めた




四時間後、五時間後、彼はまだ来ない


「書いた時間間違えたかな……」


もしかしたら、彼はもう他の女の子と……

嫌な考えを頭に積もった雪ごと振り落とす


「ううん、きっと来る」


そして、六時間後


「……あははは…」


彼は来なかった


「しょうがないよね……あははは」


立ち上がって頭や肩に積もった雪を払い落とす

ぽた、と足元に積もった雪に雫が落ちた

雨かな?と思ったが私の足元にしか落ちていない


「……あれ?私…泣いているの?」


手でぬぐってもぬぐっても涙は止まらない

それどころかもっと涙が溢れてくる


「……ううぅ…」


時計台が五時の鐘を鳴らす

その時、強く、冷たい風が吹いた


「ふ……ふぁ……」

「「ふぁっくしょんッッ!!!?」」


鐘の音に隠れてはっきりとは聞こえなかった

でも、彼の声が後ろから聞こえた


「……え?まさか…」


私は恐る恐る時計台の反対側を覗く


「あ……」

「あ……」


そこには彼が居た

私と同じように寒そうに震えながら、彼が立っていた

彼は驚いたように私を指差した


「……あれ?反対だった……?」

「……うん、逆」


彼は額から滝のように汗をこぼす

私はそんな彼を見て笑った


「あはははははははははは!!!」

「そんなに笑わないでよ〜」


彼の足元には雪が積もっていない

更に足跡がどこにもない

それはつまり雪が降るよりも前に来ていて待っていたという事だ

少なく見ても三時間前には来ていたのだろう

その事が嬉しくて、私は泣き出してしまった


「……え、あ、ごめん!!」


謝りだす彼に抱きつく

すると彼は真っ赤になって黙りこんだ

彼の体温が冷えた体に染み渡る


「……ね、今日は何の日だか知ってる?」


びくっと体を震わせて彼が答える


「えっと、バレンタインデー?」

「正解」


きゅっと強く抱きしめる

彼の鼓動が一気に早くなった


「はい、これ」


一度離れてから彼に綺麗な紙に包んだチョコを渡す


「あ、うん…ありがとう」


彼が嬉しそうに笑った

それだけで体が一気に熱くなる


「えっと…それでね……」


……あれ?なんて言うんだったっけ?

完璧に、絶対に、覚えておいたはずの言葉が出てこない

それどころか頭の中が真っ白になって……


「どうしたの?」


心配そうな彼の顔

……ええい!女は度胸だ!!


「―――――――――――――!!!!」






「…………はっ!?」


眼を覚ますと見慣れた天井が見えた

えっと……つまり……これって……


「夢ぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜!!!!!???」



HAPPY VALENTINE FOR YOU








龍神要(要):夢オチかよ!!

無知なる時(無):うん、何気に初挑戦だったりする

要:……相変わらず計画性皆無だな…

無:え〜『善は急げ』って言うだろ?

要:お前の場合は『急がば回れ』だよ

無:えっと、今回は久々という事で下手がど下手になりました

要:無視かよ

無:あ、ちなみに『私』はレイちゃんです

要:その割にはよく喋るな?

無:アニメの最終話とかで出てきた‘元気な転校生’をイメージしてみた

要:ふ〜ん

無:と、言うわけで読んでくれてありがとうございましたッッ!!!

出来ればこの稚作に感想を!!是非っ!!!

そして、来年こそ貰えますようにぃぃぃぃぃ!!!!!!

要:注、この話は作者の完全なる妄想によって出来ています。

つまり、フィクションであり、完璧に嘘っぱちです。

そして、路上で叫ぶ怪しい男がいたら作者である可能性が非常に高く、

精神汚染の可能性もあるのでご注意ください。

無:………うぅぅ…







頂き物一覧に戻る

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送