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HAVE A NICE DAY 1!!
HAVE A NICE DAY 2!!









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(c)新藤悟 2005 - All Rights Reserved









    痛めつけられる初号機。

    腕を折られる。顎を割られる。目玉を何か変な光みたいので貫かれる。

    痛い!痛い!死んじゃう!これほんと死んじゃう!

     うわあああああああああああああああああ!!

    病室に絶叫が響き渡った。

    悪い夢から覚めるということは、こういうことだ。

    お手本のような目覚め方をしても、誰もでてきてくれない。

    面白くないなあ。

    シンジは小さく呟いた。

    ふてくされながら仰向けに寝転がる。

   
    「知らない天井だ」










  HAVE A NICE DAY 2!!  













    楽しく生きるために必要なことを考えていた。

    苦しむよりは、楽しいほうがずっといい。単純なことばかり、難しくなってしまった今日このごろ。

    それでも、夢を諦めなかった男がいる! 

    と、前回と同じ書き出しを始めてみたはいいものの、シンジはめずらしく悩んでいた。

    ここがネルフの病院らしいということは、なんとなくわかる。

    つまり、あのシトと呼ばれる化け物と戦ったことも悪い夢なのではないということだ。

    苦しむよりは、楽しいほうがずっといい。

    あまり記憶が定かではないけれど、あのシトから与えられた苦痛は尋常ではないものがあった。

    苦しむよりは、楽しいほうがずっといい。

    シンジのポリシーに反している。いくら美女がいようが、巨大ロボットに乗れようが痛いのはごめんだし

    苦しいのはごめんだ。楽しいほうがずっといい。まだ自分は若いのだ。

    もう戦いたくはないな。そう結論付ける。

    現実と夢のバランスぐらい保たなければならない。

    それも楽しく生きるために必要な能力なのだ。ようやく悩みに決着をつけると、シンジは起き上がった。

    そうと決まれば新しい楽しみを見つけ出さなければならない!

    両腕を確かめる!両足を確かめる!全身を伸ばしてみる!痛みはない!

    こんな病院なんて退屈なところで過ごしていられるか!

    さあ、何をしよう!

    そこですぐにひらめくのが碇シンジという少年だった。ある意味たくましい男ではある。
    

    






    「看護婦さ〜ん、心が痛いんだ…。一緒にいてよお。寂しいんだ。お願い!」

    言うまでもなく、ナンパだった。

    幼いころからいじめられはしても、入院するような経験はしたことがなかった。

    シンジにとって何もかもが新鮮にうつるが、やはりナースだろう。何がやはりなのか意味がわからないがナースだ。

    制服、ユニフォームというものはどうしてこんなにも男の奥底にある欲望を刺激するのだろう。

    いつもより三割増しの強引さでナンパをし続けるシンジ。

    新米ナース、山田さん(仮名)も引き気味の表情。独身婦長はそれを影でみながら嫉妬。

    燃え上がる院内恋愛。暗躍する闇のドクター。そして現れる真の黒幕。

    と、そこまで暴走してみるも、現実は甘くない。あっさり拒絶されるシンジ。

    ハートブレイクに落ち込みながらも、目は絶え間なく次の目標を探し続ける。

    
    ナンパの心得その1  野性に戻れ

    性欲に忠実であるということこそ誇りに思う心構えが必要だ。

    たとえ周りから冷たい視線を注がれようが、そこで挫折することこそ漢の恥と思え!

    所詮、男というものは女がいなければ何もできない儚い生き物だ。

    世界の中心は女の子でできている。女は宝だ。女は素晴らしい!

    諦めてはならない。諦めればそこで試合終了だよ。













    


    





    

    諦めました。

    そんなこんなで、打ちひしがれながら自室へ戻る傷心の少年に、やはり女神は舞い降りるわけです。

    静かな病院の廊下をカラカラとストレッチャーが通り抜けてゆく。

    そのストレッチャーに横たわった少女と目があった。

    これが碇シンジと綾波レイの歴史的なファーストコンタクトになることは、今のシンジには知る由もなかった。

    と、プロローグ風のナレーションを心でつぶやきながら、その少女に一目で心を奪われるシンジ。

    痛々しい包帯に病的なまでの肌の白さ。それに美しく映える水色に近い髪。そして、ルビーのように真っ赤な目。

    それはこの世のものとは思えないほど現実離れした光景だった。

    一瞬の邂逅によって、心に焼き付けられたこのくすぐったいような甘酸っぱいような胡散臭いような痛み。

    わかったよ、母さん。

    今ならわかるよ。

    この気持ち。

    この気持ちこそが。

     初恋

    なんだね?

    人を愛するということがこんなに素晴らしいとは正直思わなかったよ!

    今まで僕が強引に得ようとしてきたものは、やはりまがいものの愛だったんだ!

    人は愛し愛されることによって、成長するんだと思う。

    残念ながら個人的な事情によって僕は愛されたという記憶がとても薄れてしまっている。

    でもね、愛を知らなくたって、何かに恋をする気持ちって自然に沸きあがってくるものなんだ!

    僕は、そうやって過去のいわゆる不幸な経験という奴で自分を誤魔化し続けてきただけなんだと思う。

    母さん。もう、自分を誤魔化すのはやめるよ!

    この恋の先に、どんな結末が待っているのかは分からない。

    分からないけれど、僕はあの子を愛す!

    それが人間ってものだと思うから……。


    「シ、シンジ君……?」


    振り向けば葛城ミサト。かなり引きつった顔をしているがそれはそれで美しい。

    美人はどんな顔をしていてもそれなりに楽しめる。それは凄まじい価値だ。

    そんな感想はどうでもいいんだけれど、シンジの思わず声に出してしまった独白という

    半ば確信犯的な心情解説にもめげずにミサトを喋らせます。

 
    「い、今のは何かしら?」

    「今の?はて、何のことですか?」

    「なんでもない!なんでもないわ!」

    そこらへんをつっこむと色々長くなりそうなことをミサトはすばやく察知。

    うまく話をそらして、体調や今後のことについて聞くことにする。


    「さて、体調はどう?」

    「今は僕の初恋の前に、どんな障害も意味をなしませんよ」

    「そ、そう……」

    「ええ」

    「それで、今後のことなんだけれどね……」

    やはり飛んだ少年相手であっても、これからも戦って欲しいと依頼するのは心苦しいものがあった。

    あの使徒との戦いでのシンジの痛がる様子は、予想し覚悟していたとはいえ、少なからずミサトにもショックだった。

    子供を戦わせるという重大な事実を、本当の意味で初めてあのとき、理解できたのだろう。

    自分の認識の甘さを改めて思い知らされる。

    
    「あの葛城さん。僕は恋を成就させるためのステップ1、挨拶と自己紹介を好印象に!を実行したいので、もう行っていいですか?」

    
    思考を中断させられるミサト。

    「へ?ちょっと、ちょっと待って。こら、待ちなさい!」

    「なんですか?もう……。それとも、あれですか?葛城さんも僕の恋路を邪魔する障害という奴ですか?」

    「は…?」

    「まあ、障害があったほうが燃え上がるというのは否定しませんけど、今の僕の辞書に我慢の二文字はありませんよ」

    シンジのマシンガントークに閉口しながら思わず聞いてしまう一言。

    
    「シンジ君の初恋相手って誰なの?」

 
    まあ、恋をしている奴に、そういう話題は地雷なのだけれど。もうちょっとこのシーンを続けさせてください。

    
    そう、彼女を人間ではなく女神だと言われたとしても僕は疑わない。

    それだけの美しさを彼女は内包し、かつ周囲へ発散しているんだ。

    その美は、あの三大美女ですら真っ青なうんぬんかんぬん。

    たとえるならば、富士山のたたずまいのように優美で、かつ壮大な興奮の高まりがどうのこうの。

    無機質なその視線の中に、男を狂わせる魅惑的な要素が叩き込まれていて、なおかつ etc

    人類の有史上最大の発見とでも評すべきか、はたまた……

    (中略)

    つまり、円周率に見るその人間の無駄なまでのあくなき欲求とは裏腹で不可逆的で包括的、なおかつ挑発気味な

    ニュートンの法則は、たしかに私たちの生活そのものに意識することはないが、無意識下に置いては

    その重要性は言うまでもなく、とにかくなんとなく、こう胸をつくと言いますか。

    (中略)





    「つまり、何なのよ!」
    

    


    「こ、これは失敬、ついエキサイトしてしまったようですね。ごめんくさい」

    さすがのシンジもミサトのキレたオーラに口を閉じると、とりあえず特徴的な容姿を告げた。

    「えっと。怪我をしてたみたいですね。髪が青くて、目が真っ赤でした。ね?女神でしょう?」

    ミサトには思い当たる人物がひとりいた。

    いやいや、ずいぶんな人間に好かれたものだわね、あの子も。

    思わず古めかしい言い方になってしまうミサトですが、これは交渉に使えるとピン!ときた!

    さっきまでは、この少年に罪悪感めいたものを感じていたけれど、もうそんなのは知りませーん。


    「それでシンジくん、邪魔をしないから聞いてちょうだい」

    「はい」

    「ネルフとしては、あんなつらい目にあわせたばかりだけど、シンジ君にエヴァに乗って欲しいの」

    「え?嫌ですよ。怖いもん」

    「そう、そうよね。でもね、あの子も乗ってるのよ」

    「あの子?」

    「そう。綾波レイ。それが彼女の名前よ。碇シンジ君」

    「彼女……?」

    「そう。青い髪の少女。彼女もエヴァのパイロットなの。でも彼女は今負傷している。できればシンジ君が支えてあげて欲しいわ」

    一切の質問をさせずに言い切るミサト。


    「やります!やらせていただきます!やらせてください!やらずにはいられるか!」


    最早、条件反射です。

    紆余曲折ありましたが、シンジはエヴァパイロットになることを快諾。

    名実共にサードチルドレンになることになったのだった。

    ちなみに、一人暮らしを勝ち取ることに成功したシンジは、これからの新しい生活に思いを馳せ

    心をこれでもかと過剰に躍らせていた。

    当然、ミサトは同居などの提案を頑なに心にしまいこんだのは言うまでもない。









    「これが僕の城になるわけか!広いとは言えないけれどいいところじゃないか!」

    連れてこられた部屋を、ひととおり観察しを終わると、シャワーを浴びる。

    どうやら身の周りのものは、それなりに前もってそろえてくれていたみたいだ。

    足りないものは後から買い足していくしかないだろう。

    ん?

    ちょっと待てよ。

    お金は?






















    続く (か、どうかはわからない)






















あとがき

めでたいことに、My Evangelist Home 1周年ということで
HAVE A NICE DAY をお祝いに代えさせていただきます。

まさか自分でもこの話を続けるとは思いませんでしたが
aveshinさんの優しさが私を奮い立たせてくれた気がします。
まあ、なんというか、すいませんな内容で(笑)

というわけで、更なるご発展を願いつつ。


SUNDAY WORKS の ラクエでした
















    





shin:ラクエさんから前回の続編を頂いてしまいました

シンジ:ありがとうございます

ミナモ:まさか、あれの続編を頂けるなんてねぇ……

シンジ:ビックリだね

shin:ホントにありがとうございます

ミナモ:でも、このシンジも相変わらずいいキャラよね

シンジ:とても僕と同一人物とは思えないよ

ミナモ:こんな性格だったらもっと楽しかったのにね

shin:しかし、レイに会いたさにパイロットを快諾とは……

ミナモ:叶うといいわね、シンジ

シンジ:な、何でそこで僕を見るんだよ!?

ミナモ:そりゃ、ねえ

shin:ねえ

シンジ:僕と綾波はなんでもないよ!

レイ:碇君………

シンジ:あ、綾波……

レイ:どうしてそういうこと言うの?

シンジ:ち、違うんだよ!僕が言いたいのは…ええと、その……

ミナモ:こっちはこっちで面白いわよね

shin:だな。

   では皆さん、お読みになったら当HP掲示板でもラクエ様のHPでもいいですので感想をお願いします

レイ:そう、これが悲しいと言うことなのね……

シンジ:だ、だから誤解だよ!













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